The Burton Blog

アーカイブから学ぶBurtonの歴史: STEP ON®︎の進化

STEP ON®︎の進化に迫る

1990年代初頭に誕生したリアエントリーバインディングのプロトタイプ、2000年代に量産されたステップインバインディング、そして現代スノーボードシーンを席巻するSTEP ON®︎バインディング……。Burtonが誇る世界トップレベルのエンジニアたちは、ストラップがないバインディングの究極を追い求め、膨大な量の時間と労力を雪山やラボでの開発に費やしてきました。

今回は、ダクトテープと過ごした日々をはじめ、進化の過程を写真と共にお届けします。今や、STEP ON®︎は世界中のスノーボーダーから支持を得るまでに成長しました。それでは、30年にわたる歴史を振り返りながら、STEP ON®︎の進化に迫りましょう。

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STEP ON®︎の歴史を振り返るうえで、いくつかのターニングポイントとなるプロトタイプがあります。今回は、そのなかから特に重要なものをピックアップしました。

  1. 1993年: リアエントリーバインディングのプロトタイプ
  2. 1999〜2001年: Boot 3ステップインのプロトタイプ
  3. 1999年: 初期ステップインバインディング
  4. 2016年: 現代版STEP ON®︎のプロトタイプ
  5. 2020年: STEP ON®︎ EST®︎
  6. 2022年: 現行モデルのSTEP ON®︎

1993年: リアエントリーバインディングのプロトタイプ

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みなさんは、1993年がどんな年だったかを覚えていますか? 映画『ジュラシックパーク』が大ヒットし、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」がヒットチャートを独占し、Burtonでは デザインエンジニアリングマネージャーのスコット・ケラーが大学を卒業しました。ちなみに、彼の卒業制作が何だったかを知っていますか? 実は、このリアエントリーバインディングこそが彼の作品だったのです。

3人の仲間と一緒に、アルミ製ベースプレートやリベットヒンジを使ってリアエントリーのバインディングを作りました。レバーを上げるとリベットで固定されたヒンジが開いて、ヒールカップとハイバックが外れる仕組みでした。でも、実際はまったく使えない代物でしたね。ただ、これのおかげで大学は卒業できましたよ
– スコット・ケラー(デザインエンジニアリングマネージャー / ハードグッズ)

幸運にも、Burtonはより良いプロダクトへと卒業することができました。

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1999〜2001年: Boot 3ステップインのプロトタイプ

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プロトタイプにダクトテープは欠かせません
– スコット・ケラー(デザインエンジニアリングマネージャー / ハードグッズ)

ここで裏話を1つ。一般的なDIYにダクトテープは欠かせませんが、多くのBurtonプロダクトもダクトテープなしでは生まれていなかったでしょう。もちろん、製品化されたバインディングにダクトテープは付属していませんが、古い写真を見れば、それが大袈裟でないことがわかるはずです。

「これはヤバいですね」と、グローバルプランナーのキャム・マッキーは驚きを隠せませんでした。「これがSTEP ON®︎の始まりだと思うと、興奮せずにはいられませんよ」。

これは、まだ進化の序章にしか過ぎなかったのです。

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1999年: 初期ステップインバインディング

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ようやく見慣れた形のバインディングを紹介できます。ダクトテープがない洗練されたデザインのステップインバインディングは、現代版STEP ON®︎へと続く大きな1歩でした。ステップインは、ワンタッチで装着できるバインディングの火付け役となったのです。

「ステップインは傑作でした」とはケラー。「同時に、改良すべき点は数多くありました。今のように自動で装着前の状態に戻る機能はありませんでしたし、ブーツは大きくて硬かったです。しかも、ブーツにはプラスチック製のインターフェイスが付いていて、あれが何とも言えない履き心地の悪さを生んでいました。ソールには雪が付きやすかったですしね。何よりライディング感覚が微妙でした」。

つまり、まだまだ発展途上だったのです。しかしながら、ステップインこそがSTEP ON®︎へと続く長い旅路の始まりであり、2016年のプロトタイプへ大きな足掛かりとなったことは間違いありません。

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2016年: 現代版STEP ON®︎のプロトタイプ

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パッと見た感じでは、写真のベースプレートに特筆すべき点はないかもしれません。しかし、このプロトタイプこそが革命的バインディングシステム、STEP ON®︎の卵になりました。2016年、私たちは自社の3Dプリンターを駆使して、最初のプロトタイプを完成させました。勘の良いユーザーなら、これがMINE77からリリースされたSTEP ON®︎ EST®︎のベースになったと気づくでしょう。

ただ、BurtonのThe Channel®︎ボード以外を使っているユーザーにもSTEP ON®︎を体感してもらいたかったため、まずはRe: Flex™️からの展開となりました。結果は見ての通り、STEP ON®︎の登場はスノーボードバインディング&ブーツの世界を大きく変えました。でも、歴史はまだ始まったばかりです。

3点でロックするシステムのライディング感覚に大変驚きました。同時に、着脱をシンプルにすることもできたのです
– スコット・ケラー(デザインエンジニアリングマネージャー / ハードグッズ)

2020年: STEP ON®︎ EST®︎

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ジェイクからの個人的リクエストでもあったので、MサイズのみのリリースとなったMINE77のSTEP ON®︎ EST®︎。おそらく、Burton史上最も入手困難なプロダクトだったと言えるのではないでしょうか。

ジェイクたっての希望により急ピッチでのリリースとなりましたが、改善点は多々ありました。EST®︎バインディングでありながら、従来のものよりスタンス幅やアングルのオプションは限られたものでした。さらにフットベッドが厚く、重心が高くなってしまいました。他サイズへのリサイズにも問題がありました。

しかしながら、ジェイクとBurtonにとってMINE77のSTEP ON®︎ EST®︎は歴史的プロダクトであることに違いはありません。

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2022: 現行モデルのSTEP ON®︎

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プロダクトの開発では常に完璧なものを目指し、改善を繰り返し、進化を続けていくのです
– レズリー・ベッツ(シニアグローバルプロダクトラインマネージャー / ハードグッズ)

そして現在、ケラーの卒業制作から30年の月日が経ち、スノーボード史上最も革新的なプロダクトとしてSTEP ON®︎は確固たる地位を築きました。何千、いや何万時間に及ぶ研究開発、雪上でのプロダクトテスト、ライダーからのフィードバック、そして進化への情熱によってSTEP ON®︎は現在の形になりました。

最新モデルでは、ブーツのライナーやカフクリップがアップデートされ、よりソフトなブーツもラインナップに加わりました。またトゥフックの改良により、さらにスマートでイージーなシステムになりました。ライダーからのフィードバックをはじめ、研究開発に対する圧倒的情熱の結果です。もちろん、Burtonは全てのプロダクトに同じだけの時間と労力を注いでいます。なぜなら、それがBurtonのやり方だからです。


30年前、私たちは最も使いやすくてハイパフォーマンスなバインディングを作る決心をしました。

今、私たちは1つの目標を達成したと自信を持って言えます。もちろん、まだ成し遂げていないものもあります。進化と完璧への情熱を原動力に、STEP ON®︎はBurtonの哲学を体現しました。ホワイトボードからリフトまで、私たちは常に進化の過程と共にあり続けるのです。

ぜひ、STEP ON®︎の進化を体感してみてください。決してガッカリさせませんから。


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